エロに挑戦して撃沈


弟と言うのは、愛されるように出来ているのだ。多分。
 
ふるりと震えた睫をにやけた表情でみつめたまま、エドワードエルリックは真剣に考えていた。
だからなんだ。
だから、朝なのに、やらなければならないこともそれなりにたくさんあるのに、弟を抱き閉める手をゆるめることができ
ない。
腕はしっかり弟を捕らえているのに、心がすっかり弟にとらえられてしまっている。
 
「ん」
 
今開こうとしている金色の瞳がまぶしい。まぶしくて仕方ないのに、目が離せないんだ。

金色の大きな目が開かれてぼんやりとエドワードを捕らえる。ぽったりとした唇が、薄く開いていて、最愛の弟は今ま
さに寝起きである。
 
「おはよう」
 
きっと、自分は世界中のどんな人間よりも優しい顔をしている。
あるいはとろけそうな、あるいは泣いてしまいそうな。
「おはよ、アル」
柔らかく口付けても拒否されない。むしろすこし小さい両手が背中に回されて、エドワードは心が震えるような気持ち
だった。
長い口付けをした。
視界の中の弟の金色の睫がすこし苦しげにゆがめられて、普段色白の頬がピンクに染まる様が桃みたいで、ああ、
食べてしまいたいと結構本気で考える。
頬に触れると寝起きの高めの体温が溜まらなくいとおしい。自分の肌にすっかりなじんでいて、食べごろだなあ、と思
った。

「アール」
おいしそうな頬をゆるくかんで撫でるように舌でなぞってみる。
「んー・・・」
アルフォンスがくすぐったそうに身をよじったら、自然腰に回したエドワードの銀色の手が、後ろから足の付け根に触
れた。顔はゆっくりとアルフォンスの首筋に埋める。弟の体温と、脈打つ音が最高に心地いい。
弟は寝起きだからか、あるいはけだるさからか、ちょっと笑ってエドワードの腕の力に任せている。

我ながらいい流れを作ったと思う。
「あったけぇ…」
アルフォンスの手がエドワードの頭を撫でる。
エドワードが伺うように首筋から顔をのぞきこむと、それに気づいた弟は、しょうがないなぁという優しい表情をした。こ
んなに幸せなのになぜだか切ないような気持ちで、手を進める。
切なくて、焦れていく。
奥に奥に、すすめるだけ、もっと奥に



「っ」
アルフォンスが背筋を強張らせたのが、抱き締めた腕から伝わってくる。つるりとした額をエドワードの胸元に懸命に
押しつけてきたから、思わず感想がこぼれた。
「かわい・・・」
アルフォンスが顔をそらす。今度は頬が胸元に当たる。
だってかわいいんだ愛おしいんだ、恥ずかしがることなんかなんにもないのに。
そんな反応もどうしようもなく、かわいいんだけれども。

不意に、緊張した顔でアルフォンスが見上げてくる。
「ん?」と 、尋ねたのと同時に、体を動かしてしまう。
弟の言葉は形になる前に消えた。

「あっ…っ。」

切なげな弟の声が体の芯に響いて、エドワードはもっともっと、切なくなった。
口づける。
なんども唇を離しては、塞ぐ。何度でも、何度でも、塞いで満たして、愛を注いでしまいたいという欲求に追いつめられ
る。

深く弟のからだに入り込む。エドワードは夢中で、体を上に押し上げながら、アルフォンスの上下する胸、いくつも紅い
跡の残る首筋、反って上向いたあご、濡れた目尻を、慈しむように、唇でなぞった。

息を切らす呼吸の音に、痛みを与えてしまっていることに対する申し訳なさとか、どうしようもない愛しさとか、抑えよう
のない欲望とかが渦巻いて切迫する。

この優しい弟に、こんなの全部ぶちまけたら、どんなに深い心を持っていたって壊れてしまうんじゃないだろうか。


「う、あ・・・っ」
弟は、こらえかねた声を小さく漏らして息を荒する。
きっちり閉じていた目を、薄く開いてエドワードの頬に掌を伸ばしてくる。
「にいさん」
アルフォンスの、驚いた顔。ぼんやりとした瞳がちょっと見開かれる。

「・・・信じられない。なんで泣いてるの。」
伸ばした掌が濡れたようだ。アルフォンスはすこしだけ焦ったように今度はもう一方の手も伸ばして、兄の顔を両手で
包んでくれた。

「すきだぁ…アルー…」
「しょうがない人だね」
そういって、ちょっとだけ笑った。そうしたら切迫したエドワードの空気は一気に弛緩した。
ああ、涙が止まらない。

「ん」と、すこしくるしげな表情をしながら、目じりを親指で辿るように撫でてくれる。
とめどなく、涙が流れてエドワードの頬を伝う。慰めるような弟の唇がそれを追ってぬぐってくれた。
「泣かないで。…っ」

エドワードが緩く体をうごかしたから、アルフォンスが応えるようにきゅっと目を閉じる。
「アル…」
また、口付ける。
それはさっきよりもずっと、自然な呼吸のような口づけだった。
アルフォンスの吐き出す呼吸を取り込んで、目を閉じる。
力の抜けた腕が、ゆっくりと背中にまわされる。
エドワードも自分の腕をしっかりと弟にもう一度巻きつけた。

お互いを愛おしんで、包み合うように。

これは、どちらが包んでいるんだろう、どちらがどちらをいだいているんだろう。
今自分がどこにいるのかさえ、わからなくなっている。
だけども弟の手のひらに触れる。暖かくて、何がなんだか、どうなってしまってもいいように思う。

ここに、おまえが、いるなら。










えー・・・・・・・・・・撃沈です。
えろでもなんでもねええええええ
すみませんすみません