PARC



(11)












くらい意識の中で、誰かの呼ぶ声聞いた気がした。

―――誰かが、呼んでいる。
だけど自分のことだろうか?
自分の名前は何だっただろうか?
呼んでいるのは、誰だろうか?

果たして本当に呼んでいるのだろうか。


千切れて落ちていく意識達を必死でつなぎとめようとした。
「――・・・!」
ああ、誰かが呼んでいる。
だけど動けない。全身が。
焼けるようで、凍えているようで。
似ている、と思った。
一度兄とともに分解されてしまった、あの時に。
似ている。



『もう死にたくは、ないだろう。』
どこかで聞こえたつぶやきを思い出した。



―――ああ、あのとき、
あまたの白い手に引かれてしまったあの時。
もしかしてボクは死んでしまったのだろうか。
体だけだと思っていた分解は、もしかして、
もしかして、魂にまで及んでいて、「ぼく」はもういなくなってしまっていて。

知らないうちに、誰かが(だれかが、といってもあの人しかいないのだけれども)また「ぼく」をこうちくして、
つくってしまったのかな

「ぼく」を

――?
「ぼく」とはだれだっただろう
なにだっただろう?


――?よんでいるのはだれだろう。
へんじを、しなくては。


―――「          」。
だれだっただろう。
たぶんだれよりもこのいのちにつながっているひと



「          」











わからない


























「あ・・・っ!!」

誰かに強く呼ばれた気配がして突然目が覚めた。
無理やりに昏睡から引きはがされるような目覚めだった。
あまりに唐突で苦しい。息が荒い、何度か強く噎せて左右を見た。
白い壁、消毒液の匂い。時間感覚がつかめず、激しく戸惑った。

「っ・・・。う、うッ。」
言葉が紡げない。呼吸の仕方も忘れて、ただベッドのきしむ音が他人事のように耳に届く。
自分の声のあまりの拙さに、自分のものだとは思えずに怯えた。

「大丈夫だ」
穏やかな声が荒い呼吸の合間に聞こえる
げほ、ともう一度むせてはっきりと視線を定める。
目の前に黒髪の男が見える。最後に見た情景とだぶり、少なからず身構えた。

「大丈夫だ。アルフォンス。」
相手をはっきり認識しようとした。だが、誰なのか、はっきりしなかった。ただ敵ではないのだとはわかったから、瞳か
ら熱いしずくが零れだすのをとどめることができなかった。

「ああ、大丈夫だ。怖くない。」
「あ・・・う、」
背中にひんやりとした腕が差し入れられて、自分の熱の高さに戸惑う。ゆったりと抱きしめられて、右腕がひどく傷ん
で、折れていたことを思いだす。
背中の血印に掌が擦れたとき、びくりと背がしなった。

「・・・っ!」
「すまん、痛かったか。」
黒髪の生え際、温かい首筋に汗ばんだ額を擦り当てて、ようやく安堵の吐息がこぼれた。



「・・・たい、さ、」
かすれて音にならず、それでもその体温の主はゆっくりと背中をさすってくれた。
「大丈夫だ。還ってきたんだ・・・おまえは、還ってきた。」










**********************
いやーすみません。






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